これまでサビを意識したことなどあまりなかった。
せいぜい自転車だったりネジだったりが錆びていたらCRE-556をふりかけるくらいだった。
錆は簡単に落ちて当然のものだと思っていた。
しかし、錆VS人間の戦いには長い歴史があった。
この本にはその奮闘の歴史絵巻だ。
錆をナメたらいかんぜよ
マジで錆は強い。というか錆が身の回りにこんなにあるなんて思わなかった。
そしてステンレスの優秀さがスゴイ。
これまでステンレスに感謝したことはなかったが、コレが生活用品の中に入ってこないと現代生活は成り立たないんじゃないかと思うほど。
思うほどっていうか確実に嫌気が差してくると思う。
包丁、ナイフ、フォーク、スプーン、キッチン周り、蛇口などの水回りなどなど”錆びたらヤダな”であふれている。
錆というのはテーマとしてマニアックだが、読むとハマる不思議な本だった。
錆という病気
自由の女神はかつて内部をサビでグズグズにされたことがあるようで、その修繕の大変さも本の中で描かれている。
いろいろな人が悪戦苦闘し、悩み、戦うさまが描かれている。
ボクだったら「もうやめて、もう一個貰おうぜ」とか抜かしてしまうところだがアメリカの人たちは錆と戦うことを決めた。
そして勝った。内側の錆はどうするか?新たに採用する金属は何にするのか?再発を防ぐには?直したら女神像の表面がまだらになるがどうする?
こういった難問に真っ向から勝負を挑んだ素晴らしい戦いだ。
アラスカ縦断パイプライン
アラスカを縦断する形でとおっているパイプライン(1300km)
こいつも錆にやられそうになったものの一つで、保守の一連の流れの話も興味深い。
錆を生業にしている人たちの仕事ぶりについても書かれていてマニアック度に磨きがかかっている。
防錆製品のみを取り扱う店や錆に関するコンサルタントなど超ニッチとしか言えない職業の人達がいる。
そして何よりこの本は翻訳がいい。とにかく読みやすい。
興味がない人は興味が無いなりに、興味がある人は全速力で読んでみてほしい。